雨は男を待っていた
雨はその男の企みに気づいていた
男は雨を好んでいた
全ての騒音を掻き消して雨音だけが響く
そんな状況が好きだったのだ
子供の頃からそうだった
雨の音だけが友だった
そう思い込んでいただけかもしれない
男は雨音に心を奪われていたのだ
いつしか男は雨の日だけ元気になった
周囲からは白い目で見られた
人と趣向が違うといつもそうだ
だから男は自ら孤立していった
たいがい周囲と馴染めないと嘆く
たいがい話が合わないと嘆く
男も分かち合う友がいないために
大いに苦しんでいた
孤立したのが意図的であったかなかったか
もうそんなことは思い出したくもない
男はそう思い込んで周囲に辛くあたったんだ
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