命の尊さを知るものよ
僕は間違っていたのかい
男はそう呟き
青空に向かって叫んだ
僕はなぜ生きている
僕は何に生かされている
もう僕の頭上に雨は降らないのか
もう僕の頭上で涙は流れないのか
いつも雨と共にあった
いつも雨の音ですべてを誤魔化してきた
茶番を演じてきた
なら一層のこと
すべてを闇に葬ればいい
そして男は刃を自身の胸に突き刺した
悲劇に思うこともある
喜劇に笑うこともある
それが僕らの生きていく道なんだ
そう思い男は目を閉じて笑った
---「雨男」完---
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